「生理痛がしんどい」「PMSに悩んでいる」――そんな時、病院へ行きたくても時間が取れないことはないだろうか。
近年はオンライン診療の普及により、スマホやパソコンから医師の診察を受け、条件に合えばピルを処方してもらえるサービスが増えている。
この記事では、オンラインでピルを利用する際の流れや注意点、各種ピルの特徴や料金相場、そしておすすめのクリニック情報まで幅広くまとめた。
自宅での診療を検討している方や、ピルについて基礎知識を整理したい方に役立つ内容なので参考にしてほしい。
目的に合わせて選ぶ!オンラインピルのおすすめクリニック10院
ここからは、オンライン診療でピルを処方している代表的なクリニックを紹介する(自由診療を含む)。
どのクリニックも医師の判断によっては対面診療が必要になる場合や、薬が処方されないケースもある。詳細は各公式サイトで確認してほしい。
スマルナ
受付 | 毎日24時間 |
---|---|
予約手段 | パソコン スマートフォン |
受診 | ビデオ通話にて対応 |
医師の判断により処方されるピル | 低用量 超低用量 中用量 アフターピル |
医薬品発送 | 医療機関の定めたスケジュールに従う |
支払 | クレジットカード atone翌月払い(コンビニ/口座振替) |
問い合わせ | チャットによる助産師や薬剤師の対応 助産師対面相談 |
スマルナは、アプリを通じて診察の予約から受診、服薬タイミングの通知まで一括で行えるのが大きな特徴だ。
アプリには過去の診療内容や処方履歴が保存され、いつでも振り返り可能。
服用や体調に関する不安や疑問がある場合は、助産師や薬剤師にチャットで相談できるほか、助産師による対面相談も用意されている。
低用量ピルと超低用量ピルは、12シート単位での定期プランとなっており、契約の解約は次回請求日の前日までに手続きすればOK。
女性専用サービスとして設計されており、ピルの処方以外にもメディカルダイエット、スキンケア、女性の薄毛治療といった幅広いオンライン診療メニューを提供している。
スマホ一台で手軽に継続できる点は、忙しい女性にとって大きな魅力といえるだろう。
メデリピル
受付 | 毎日24時間 |
---|---|
予約手段 | LINE |
受診 | テレビ電話・音声にて対応 |
医師の判断により処方されるピル | 低用量 超低用量 中用量 アフターピル |
医薬品発送 | 医療機関の定めたスケジュールに従う |
支払 | クレジットカード Amazon Pay auかんたん決済 ソフトバンクまとめて支払 あと払い(ペイディ) コンビニ払い 銀行振込 口座振替 NP払い atone翌月払い |
問い合わせ | LINEによる生理相談室利用 カウンセラーへの個別相談 |
メデリピルは、診療予約から相談までLINE上でできる手軽さが魅力だ。
診察は産婦人科医が行い、利用者には服薬管理カレンダーが提供されるため、生理日や体調の記録が簡単にできる。
低用量・超低用量ピルは月ごとの定期プランに加え、6シートや12シートをまとめて受け取れるプランも選択可能。
解約はマイページから予定日の5日前までに手続きすればOKだ。
生理やピル、おりものなどデリケートな相談もLINEで完結し、薬は中身がわからない白い封筒で自宅ポストに届くため、プライバシーにも配慮されている。
レバクリ
受付 | 毎日24時間 |
---|---|
予約手段 | パソコン スマートフォン |
受診 | ビデオ通話・電話にて対応 |
医師の判断により処方されるピル | 低用量 超低用量 中用量 |
医薬品発送 | 医療機関の定めたスケジュールに従う |
支払 | クレジットカード 代金引換 |
問い合わせ | チャットの利用 |
レバクリは3種類のピルを取り扱っており、低用量ピルは1ヶ月分から12ヶ月分まで幅広く選べる。
超低用量は単発購入(1ヶ月・12ヶ月)または1〜6ヶ月単位の定期配送が可能。
薬の受け取り方法も自宅配送のほか、コンビニや郵便局での受け取りに対応している。
定期配送は基本的にいつでも解約できるが、すでに支払いが完了している分はキャンセルできない点に注意が必要だ。
ピルのほか、男性向けAGAやED治療のオンライン診療も行っており、幅広いニーズに応えるクリニックだ。
クリニックフォア
受付 | 診察 平日7〜24時まで 土日も診療可 |
---|---|
予約手段 | パソコン スマートフォン |
受診 | ビデオ通話にて対応 |
医師の判断により処方されるピル | 低用量 超低用量(ミニピル) 中用量 アフターピル |
医薬品発送 | 医療機関の定めたスケジュールに従う |
支払 | クレジットカード Paidy GMO後払い Amazon Pay |
問い合わせ | ドクター カウンセラーに相談 |
クリニックフォアはオンラインと対面の両方で診療を受けられ、5種類のピルを取り扱っている。
低用量・超低用量は最小2ヶ月から利用でき、定期配送は中止手続きで簡単に解約可能。
ただし、決済済みの分はキャンセルできない。
ピル以外にも、ニキビ治療、AGA(男女)、漢方相談、発熱外来、一般内科など幅広く対応。
自費診療だけでなく保険診療も可能で、薬は病院名の記載がないシンプル包装でポストに届く。
エニピル
受付 | 毎日24時間 |
---|---|
予約手段 | パソコン スマートフォン |
受診 | 電話にて対応 |
医師の判断により処方されるピル | 低用量 超低用量(ミニピル) 中用量 アフターピル |
医薬品発送 | 医療機関の定めたスケジュールに従う |
支払 | クレジットカード NP後払いリアルタイム |
問い合わせ | LINEにて専門カウンセラーへの相談 |
エニピルは、ミニピルを含む5種類のピルを扱い、毎月配送・3シートセット・12シートセットの3プランから選べる。
解約はマイページから定期便情報を確認して手続き可能。
診療は予約制と、Web問診に回答後30分以内に医師から電話がかかってくる即時対応型の2パターンが用意されている。
生理や避妊の悩みは公式LINEでカウンセラーに相談でき、薬は目立たない包装でポスト投函される。
DMMオンラインクリニック
受付 | 毎日24時間 |
---|---|
予約手段 | パソコン スマートフォン |
受診 | ビデオ通話にて対応 |
医師の判断により処方されるピル | 低用量 超低用量(ミニピル) 中用量 アフターピル |
医薬品発送 | 医療機関の定めたスケジュールに従う |
支払 | クレジットカード DMMポイント PayPay |
問い合わせ | 問い合わせの窓口あり |
出典:合同会社DMM.com「DMM オンラインクリニック」
DMMオンラインクリニックは、ピルのほかAGA(男女)、肥満症、ED、インフルエンザ予防接種、多汗症など幅広い診療科目をオンラインで提供している。
ミニピル、低用量、超低用量は1・3・6・12ヶ月単位での定期便があり、解約は薬の発送予定日2営業日前まで可能。
薬は自宅配送のほかコンビニ受け取りも選べ、生活スタイルに合わせた柔軟な利用が可能。
デジタルクリニック
受付 | 毎日24時間 |
---|---|
予約手段 | パソコン スマートフォン |
受診 | 電話にて対応 |
医師の判断により処方されるピル | 低用量 超低用量(ミニピル) 中用量 アフターピル |
医薬品発送 | 医療機関の定めたスケジュールに従う |
支払 | クレジットカード/デビットカード 代金引換 銀行振込 コンビニ後払い(NP払い) |
問い合わせ | LINEによる専門医療チームに相談 |
デジタルクリニックはピルに加え、更年期障害、禁煙、肥満症、美容皮膚、ニキビなど多彩な診療をオンラインで行っている。
自宅で使える血液検査キットも用意されており、結果に応じた診療も可能。
ピルは1・3・6・12シートの定期プランから選べ、解約はLINEで決済日の2日前までに手続きできる。
メッド
受付 | 診療 10〜23時 土日祝日可能 |
---|---|
予約手段 | パソコン スマートフォン |
受診 | ビデオ通話にて対応 |
医師の判断により処方されるピル | 低用量 超低用量 中用量 |
医薬品発送 | 医療機関の定めたスケジュールに従う |
支払 | クレジットカード 楽天ペイ |
問い合わせ | LINEで10〜23時のカスタマーサポートセンター開設 |
メッドは、美容やダイエット、ニキビ、AGA、禁煙など多様な診療に対応し、検査キットでの血液・感染症チェックも可能。
ピルは1・3・6・12ヶ月プランから選べるが、薬によっては対応期間が異なる。
定期便解約は発送予定日の4日前23:59までにLINEで連絡。
楽天IDでのログインも可能で、提携クリニックでの対面診療サポートも受けられる。
マイピル
受付 | 毎日24時間 |
---|---|
予約手段 | LINE Web |
受診 | 電話にて対応 |
医師の判断により処方されるピル | 低用量 中用量 アフターピル |
医薬品発送 | 医療機関の定めたスケジュールに従う |
支払 | クレジットカード Paypal auPay PayPay メルペイ スコア後払い あと払いペイディ 銀行振込 |
問い合わせ | 問い合わせの窓口あり |
マイピルは3種類のピルを扱い、定期配送は月1回、3シート、6シートの3パターン。
契約期間の縛りはなく、経済的に一度に支払うのが難しい場合は都度払いにも対応(薬は医療機関が保管)。
解約は発送予定日の10日前までに連絡。診療は産婦人科医が担当し、スキンケア診療にも対応している。
ルナルナ
受付 | 毎日24時間 |
---|---|
予約手段 | スマートフォンアプリ |
受診 | ビデオ通話とチャットにて対応 |
医師の判断により処方されるピル | 低用量 |
医薬品発送 | 医療機関の定めたスケジュールに従う |
支払 | クレジットカード |
問い合わせ | 自動返信チャットボット |
出典:株式会社エムティーアイ「Luna Lunaおくすり便」
ルナルナは低用量ピルのみを扱い、初心者向け13シートプランと経験者向け6シートプラン(2回分割配送)がある。
13シートプランは1シートずつ定期的に届き、6シートプランは2回に分けて発送される。
どちらも途中解約が可能で、キャンセルは決済前日までに手続き。
薬は病院名が記載されないシンプルな梱包で自宅ポストに投函されるため、プライバシー面も安心だ。
ピルのオンライン診療に必要な費用・料金プランと保険適用の有無
オンライン診療が可能なクリニックを把握したら、次に気になるのは「総額でいくらかかるのか」という点でだろう。
ここでは、先に紹介した医療機関ごとの料金を比較し、税込でどの程度になるのかを確認する。
今回の比較では、低用量・超低用量・ミニピルについては毎月1シートが郵送される場合の金額を基準とした。
記載している料金は、診察料や送料、システム利用料などを含めた総額(税込)だ。
なお、いずれのケースも自費診療となり、健康保険は適用されない。
スマルナの総額(税込)
ピル | 総額(税込) ※診察料・送料込み |
---|---|
低用量 | 3,530〜10,530円/月 |
超低用量 | 3,530〜10,530円/月 |
中用量 | 6,750円/21錠 |
アフターピル | 12,030〜13,030円 |
ミニピル | 取り扱いなし |
メデリピルの総額(税込)
ピル | 総額(税込) ※診察料・送料込み |
---|---|
低用量 | 3,520円/月 |
超低用量 | 4,730〜10,450円/月 |
中用量 | 3,630円/7錠 |
5,610円/14錠 | |
7,590円/21錠 | |
9,570円/28錠 | |
アフターピル | 10,600〜12,650円/1錠 |
ミニピル | 取り扱いなし |
レバクリの総額(税込)
ピル | 総額(税込) ※診察料・送料込み |
---|---|
低用量 | 3,150円/月 |
超低用量 | 5,859〜11,369円/月 |
中用量 | 5,710円/21錠 |
アフターピル | 取り扱いなし |
ミニピル | 取り扱いなし |
クリニックフォアの総額(税込)
ピル | 総額(税込) ※診察料・送料込み |
---|---|
低用量 | 4,983円/月 |
超低用量 | 6,408〜12,485円/月 |
中用量 | 7,678円/21錠 |
アフターピル | 10,978〜19,800円 |
ミニピル | 4,608円/月 |
エニピルの総額(税込)
ピル | 総額(税込) ※診察料・送料込み (初回のみ診察料・送料・システム利用料税込総額) |
---|---|
低用量 | 3,828〜5,720円/月 (2回目以降) 6,413〜9,020円/月 (初回のみ) |
超低用量 | 4,730〜10,450円/月 (2回目以降) 8,030〜13,750円/月 (初回のみ) |
中用量 | 11,528円/21錠(単発) |
16,830円/42錠(単発) | |
4,928円/月 (2回目以降) 8,228円/月 (初回のみ) | |
アフターピル | 14,828円 |
ミニピル | 4,400〜5,500円/月 (2回目以降) 7,700〜8,800円/月 (初回のみ) |
DMMオンラインクリニックの総額(税込)
ピル | 総額(税込) ※診察料・送料込み |
---|---|
低用量 | 3,530〜7,850円/月 |
超低用量 | 4,730〜10,530/月 |
中用量 | 6,750〜7,350円/21錠 |
アフターピル | 10,050〜13,030円 |
ミニピル | 4,530〜6,530円/月 |
出典:合同会社DMM.com「DMM オンラインクリニック」
デジタルクリニックの総額(税込)
ピル | 総額(税込) ※診察料・送料込み |
---|---|
低用量 | 4,983円/月 |
超低用量 | 8,100〜14,300/月 |
中用量 | 7,678円/21錠 |
アフターピル | 10,890〜15,950円 |
ミニピル | 14,300円/月 |
メッドの総額(税込)
ピル | 総額(税込) ※診察料・送料込み |
---|---|
低用量 | 4,056円/月 |
超低用量 | 5,530〜14,300円/月 |
中用量 | 5,530〜6,280円/21錠 |
アフターピル | 取り扱いなし |
ミニピル | 14,850円/月 |
マイピルの総額(税込)
ピル | 総額(税込) ※診察料・送料込み |
---|---|
低用量 | 5,159円/月 |
超低用量 | 取り扱いなし |
中用量 | 5,698円/21錠 |
アフターピル | 6,798〜14,498円 |
ミニピル | 取り扱いなし |
ルナルナの総額(税込)
ピル | 総額(税込) ※診察料・送料込み |
---|---|
低用量 | 4,473円/月 |
超低用量 | 取り扱いなし |
中用量 | 取り扱いなし |
アフターピル | 取り扱いなし |
ミニピル | 取り扱いなし |
出典:株式会社エムティーアイ「Luna Lunaおくすり便」
料金は変動する可能性があるため、医療機関の公式サイトで確認してほしい。
そもそもピルとは何か
「ピル」という言葉は聞いたことがあっても、その成分や具体的な役割まで理解している方は少ない。
ここでは、医師が処方するピルの基本や、保険が適用されるケースとそうでないケースを整理する。
医師が処方するピルの基本的な位置づけ
一般的に、医療機関で処方されるピルのうち、一部は保険の適用を受けられる。
たとえば次のような疾患だ。
子宮内膜症
月経困難症(生理痛)
ただし、すべてのピルがこれらの疾患に対して保険適用となるわけではない。
薬の処方は、医師が診察のうえ「服用が適切」と判断した場合に限られる。
生理に伴って頭痛・腰痛・吐き気などが起こり、日常生活に影響が出る場合もあるが、薬の効果や症状の改善度は人によって異なる。
全員に同じ効果が得られるわけではない点は理解しておく必要がある。
出典:独立行政法人 医薬品医療機構「ノルゲストレル・エチニルエストラジオール錠」医療用医薬品 情報検索 *2024年7月改訂(第4版)(参照日:2025/04/08)
保険適用外となるケース
一方で、保険が使えない状態で処方されることもある。代表的なのは避妊目的の使用だ。
また、現時点では保険適用が認められていないものの、一部の研究で有用性が報告されている例もある。
たとえば以下のようなケースだ。
月経前症候群(PMS)
肌荒れの改善
これらはいずれも自費診療となる。オンライン診療を利用する際も、医師の診察によって適切と判断されれば処方が行われる。
出典:日本産婦人科学会「産婦人科診療ガイドラインー婦人科外来編2023」P178~P183(参照日:2025/4/08)
出典:日本皮膚科学会ガイドライン「尋常性痤瘡治療ガイドライン」日皮会誌:118(10).1893-1923.2008(平20)P1916〜1917(参照日:2025/4/08)
ピルはいくつかの種類に分かれている
ピルは成分の配合量や種類によっていくつかのタイプに分かれており、目的や体質に合わせて選ばれる。
ここでは代表的な5種類について概要を紹介する。
- 1.低用量ピル
-
- 卵胞ホルモンと黄体ホルモンを配合
- 製品ごとに含まれる黄体ホルモンの種類や卵胞ホルモンの量が異なる
- 主に避妊や月経前症候群(PMS)の緩和などを目的に、医師の判断で処方されることがある
- 2.超低用量ピル
-
- 卵胞ホルモンと黄体ホルモンを配合
- 卵胞ホルモンの量は低用量ピルより少なめ
- 生理痛の軽減やPMS改善のために処方されるケースもある
- 3.中用量ピル
-
- 卵胞ホルモンと黄体ホルモンを配合
- 卵胞ホルモン量は低用量より多い
- 生理日をずらしたいときなど、短期間の服用を目的に処方される場合がある
- 4.アフターピル
-
- 黄体ホルモンのみを配合
- 性交後72時間以内など、緊急避妊の必要がある場合に医師の判断で処方される
- 5.黄体ホルモンのみのピル
-
- 黄体ホルモンのみを配合
- 避妊や生理痛の軽減を目的に処方されることがある
- エストロゲンを含まないため、エストロゲン服用が難しい方にも選択されることがある
同じ「ピル」という名称でも、ホルモン量や配合成分によって効果や副作用の傾向が異なる。
どのタイプが適しているかは体調やライフスタイルによって変わるため、必ず医師と相談して決めることが大切だ。
出典:聖フランシスコ会姫路聖マリア病院産婦人科「低用量エストロゲン・プロゲスチン、ジエノゲストが使用できない月経困難症に対し、ミニピルが著効した一例」現代産婦人科 Vol.71 no.1 2022年. pp.63~66(参照日:2025/04/08)
ピルの服用を一考した際に身につけておきたい知識
ピルは医師の診察を経て「服用が適切」と判断された場合に処方される医薬品だ。
効果を最大限に活かし、安全に利用するためには、事前に理解しておくべきポイントがある。
効能・副作用の両面を理解する
処方される薬には必ず効能・効果と副作用があり、添付文書にも詳細が記載されている。
中には研究段階で有効性が示唆されているものの、治療法として確立されていないケースも存在する。
症状が改善する場合もあれば、期待通りの効果が得られないこともあり、効果の現れ方には個人差がある。
保険適用外のケースと費用の差
避妊を目的とした服用は保険の対象外となり、自費診療となる。
医療機関によって料金設定が異なるため、事前に費用を確認しておくと安心だ。
医師との相談が不可欠
どの薬が適しているかは自己判断ではなく、必ず医師の診察で決めることが重要だ。
特に副作用が疑われる症状が出た場合は、放置せず速やかに相談する必要がある。
服用前にはメリットとリスクの両方を把握し、納得したうえで始めることが望ましい。
出典:厚生労働省「経口避妊薬(OC)の安全性についてのとりまとめ(参照日:2025/08/19)
出典:厚生労働省「経口避妊薬(OC)についてのとりまとめ(参照日:2025/08/19)
出典:厚生労働省 山口労働局・大塚製薬「知って対策PMS 月経前症症候群」(参照日:2025/08/19)
出典:日本産婦人科学会「産婦人科診療ガイドラインー婦人科外来編2023」P178~P183(参照日:2025/8/19)
オンラインピルのメリットとデメリット
オンライン診療によってピルを処方してもらう方法は、通院とは異なる特徴がある。
ここでは、利点と注意点をそれぞれ整理して紹介する。
通院とオンラインの主な違い
まず、診療における通院とオンラインの相違点をいくつか見てみよう。
オンライン | 通院 | |
---|---|---|
場所 | 自宅など | クリニックや病院の所在地 |
利用可能時間 | 各医療機関の診療時間内 自分の都合に合わせた利用 | 各医療機関の診療時間内 |
移動時間 | なし | あり |
診療 | ビデオ電話 電話 チャット | 医師と直接対面 |
薬 | 処方できない薬あり 当日受け取れない可能性あり | 処方できない薬なし 当日受け取り可能 |
緊急時の対応 | 難しい場合あり | 対応できる場合あり |
検査 | 対応できる場合あり | 対応できる場合あり |
触診 | できない | できる |
表からわかるように、オンライン診療は「移動不要」「時間の融通が利く」といった利便性がある一方で、検査や緊急時対応など通院に比べて制約もある。
どちらが自分に適しているかを判断するには、生活スタイルや受診目的、求めるサポート体制などを踏まえて検討することが大切だ。
ここからは、オンライン診療のメリットとデメリットをそれぞれ具体的に見ていこう。
オンライン診療のメリット
1. 移動の手間がなく時間を有効活用できる
自宅や職場から受診できるため、移動や待ち時間を削減できる。
夜間や休日に診療可能なクリニックもあり、忙しい方や子育て中の方でも受診しやすい環境が整っている。
2. プライバシーを守りやすい
画面越しやチャットでの診察となるため、ほかの患者と顔を合わせる必要がなく、症状や服薬について知られる心配が少ない。
3. 感染症リスクを低減できる
流行期でも外出せずに診療を受けられ、待合室や公共交通機関での感染リスクを回避できる。
オンライン診療のデメリット
1. 緊急時の対応が限られる
触診や即時対応が必要な症状には不向き。服薬中に副作用が疑われる場合は、早急に対面診療が必要になることもある。
2. 通信環境が必要
通信が不安定だと診療が中断する可能性がある。安定したネット環境が前提。
3. 薬の受け取りまでに時間がかかる場合がある
配送に数日かかることがあり、服用開始を急ぐ場合には不便さを感じることがある。
オンライン診療が広がった背景
近年、オンライン診療は一気に身近な選択肢となった。その普及には、複数の社会的・技術的要因が関係している。
1. パンデミックによる受診控え
新型コロナウイルスの流行時、多くの人が院内感染を避けるために通院を控えた。
慢性疾患を抱える患者の中には、治療が中断し症状が悪化するケースもあったほどだ。
オンライン診療は、他者との接触を最小限にしながら医療を継続できる手段として注目を集めた。
2. 多様化する働き方と生活スタイル
長時間労働やシフト制勤務などで、従来の診療時間内に通院できない人が増えている。
オンライン診療なら、早朝や夜間、休日などライフスタイルに合わせた予約が可能で、通院のハードルが下がる。
3. インターネットとデバイスの普及
スマートフォンやタブレット、安定した通信環境が一般化したことも大きな要因。
ネット接続が可能な場所なら、自宅はもちろん、出張先や移動中でも診療が受けられるようになった。
感染症対策、生活スタイルの多様化、通信技術の進歩——これらが重なったことで、オンライン診療は一時的な代替手段から、日常的に利用できる新しい診療形態へと広がってきた。
特にピルの処方は通院の必要性が比較的少ないことから、オンラインとの相性がよく、利用者が急増している。
オンラインピルで処方される主な薬と副作用
オンライン診療でも、医師の判断により対面と同様のピルが処方されることがある。
ここでは代表的な成分ごとの作用と、知っておきたい副作用について整理する。
1.低用量ピル
作用機序
脳下垂体から分泌される黄体形成ホルモン(LH)と卵胞刺激ホルモン(FSH)の分泌を抑制し、排卵を防ぎます。さらに子宮内膜や頸管粘液を変化させ、受精や着床が成立しにくくなります。
代表的な副作用
- 重大な副作用:血栓症(0.1%未満)
- その他の副作用:・悪心(5%以上)、嘔吐(5%以上)、頭痛(5%以上)
出典:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「レボノルゲストレル・エチニルエストラジール錠」医療用医薬品 情報検索 *2021年6月改訂(第2版)(参照日:2025/04/08)
作用機序
連続服用でホルモン濃度を一定に保ち、排卵を抑制する。子宮内膜や頸管粘液の状態も変化し、妊娠成立を防ぐ。
代表的な副作用
- 重大な副作用:血栓症(頻度不明)
- その他の副作用:乳房痛(5%以上)、悪心(5%以上)、頭痛(5%以上)
出典:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「デソゲストレル・エチニルエストラジオール錠」医療用医薬品 情報検索 *2024年6月改訂(第2版)(参照日:2025/04/08)
2.超低用量ピル
作用機序
排卵抑制と子宮内膜増殖抑制作用により、月経困難症に伴う痛みの軽減が期待できる。
代表的な副作用
- 重大な副作用:血栓症(頻度不明)
- その他の副作用:不正子宮出血(25.4%)、悪心(29.8%)、頭痛(41.0%)、凝固検査異常(20.2%)
出典:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「ドロスピレノン・エチニルエストラジオール錠」医療用医薬品 情報検索 *2020年6月改訂(第1版)(参照日:2025/04/08)
作用機序
1日1錠を21日間服用すると、黄体ホルモンと卵胞ホルモンの分泌が抑制される。
代表的な副作用
- 重大な副作用:血栓症(頻度不明)、アナフィラキシー(頻度不明)
- その他の副作用:頭痛(15.5%)、悪心(17.9%)、不正性器出血(81.1%)
出典:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「ノルエチステロン・エチニルエストラジオール配合製剤」医療用医薬品 情報検索 *2023年11月改訂(第4版)(参照日:2025/04/08)
3.中用量ピル
作用機序
脳下垂体前葉に作用して排卵誘発ホルモンの分泌を抑え、子宮内膜を分泌相に転換させる。
代表的な副作用
- 重大な副作用:血栓症(0.1〜0.2%未満)
- その他の副作用:悪心(0.1〜5%未満)、頭痛(0.1〜5%未満)、不正出血(0.1〜5%未満)
出典:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「ノルゲストレル・エチニルエストラジオール錠」医療用医薬品 情報検索 *2024年7月改訂(第4版)(参照日:2025/04/08)
作用機序と主な副作用については以上だ。
ピルの成分やホルモン量によって作用や副作用の傾向は異なる。
オンライン診療であっても、服用の可否や種類は医師の判断に基づく。
処方された際は、必ず添付文書を確認し、副作用が疑われる症状があれば速やかに相談しよう。
オンラインピル処方のクリニック選びのチェックポイント
オンライン診療を利用できるクリニックは数多くあるが、選び方を誤ると継続しにくくなったり、十分なサポートを受けられなかったりすることがある。
ここでは、選ぶ際に押さえておきたい観点を整理する。
1. 料金体系と利用しやすさ
インターネットで「オンライン診療 ピル」と検索すると、多くのクリニックが見つかる。
公式サイトでは、以下のような情報を必ず確認しよう。
- 医師の診断結果に応じて処方可能なピルの種類
- 診療費や薬代、送料の有無
- 予約方法や診療形式(アプリ・LINE・PCなど)
これらを比較することで、毎月かかる総額が把握できる。
特に継続利用を考えている場合は、自分が使いやすい予約方法や診療ツールを選ぶことも大切。
2. 副作用への対応とサポート体制
薬の服用に伴う副作用や体調の変化は、誰にでも起こり得る。そのため、以下の点を事前に確認しておくと安心だ。
- 24時間相談できるか
- 対応するのは医師か、助産師・薬剤師など他の医療職か
安全に服用を続けるには、体調不良時や不安を感じたときにすぐ相談できる体制が重要。
3. 契約・解約条件
妊娠や出産の予定ができるなど、服用を中止したいタイミングが来る可能性もある。
契約中のプランを途中解約できるか、手続き期限やキャンセル料の有無も確認しよう。
4. プライバシーへの配慮
女性専用クリニックや、医師・スタッフを性別で選べるクリニックもある。症状を安心して相談できる環境かどうかも重要な判断基準。
梱包や送付時に病院名が記載されないなど、配送面での配慮も確認しよう。
料金・サポート・契約条件・プライバシー配慮といった複数の視点から比較することで、自分に合ったオンラインピルのクリニックが選びやすくなる。
長く安心して利用するためにも、事前の情報収集は欠かせない。
オンラインピルの申し込みから受け取りまでの流れ
ここでは、実際にオンライン診療でピルが処方された場合の一連の流れを、例として「スマルナ」の場合をもとに紹介する(自由診療に関する情報を含む)。
まずは診療科目を選ぶ。スマルナでは、低用量ピル・中用量ピル・アフターピルの3種類から選択可能。
カレンダー形式で表示される予約可能日時の中から、希望する日と時間を選ぶ。
受診前にオンライン問診を実施する。所要時間は5〜7分程度で、医師はこの回答内容をもとに診察を行う。
予約日時になったらサイトにログインし、ビデオ通話で医師の診察を受ける。
診察の結果、服用が適切と判断された場合のみ薬が処方される。服用が不適切と判断された場合は処方されない。
処方が決まった薬は、最短で翌日に発送される。配送はプライバシーに配慮した梱包で行われ、自宅ポストに投函される。
ポイント
- 医師の診断で服用が適さない場合は処方不可
- 配送スピードや梱包方法はクリニックによって異なるため、事前確認が安心
ピルの理解を深め、診療方法を正しく選ぼう
オンライン診療は、病院の診療時間内に通院できない人にとって便利な選択肢のひとつだ。
移動の負担を減らしつつ、プライバシーにも配慮しながら医師の診察を受けられるため、生活スタイルや希望に合わせた受診方法が選べる。
今回の記事では、オンライン診療におけるピルの料金相場や種類、処方されるケースについて解説した。
これまでピルに関する知識が少なかった方も、オンラインでの利用方法や注意点、そして薬のメリット・デメリットを理解できたのではないだろうか。
ただし、ピルは医薬品であり、期待できる効果の一方で副作用が生じる可能性がある。服用を希望する場合は、必ず医師と相談し、効果とリスクの両面を把握したうえで利用することが重要。
本記事が、オンラインでのピル利用を検討している方のクリニック選びや受診方法の参考になれば幸いだ。