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介護疲れの負担を減らすために知っておきたい社会資源とメンタルケア
介護疲れの負担を減らすために知っておきたい社会資源とメンタルケア
「親の介護は子どもがするもの!」
「家族のことは家族で支えなきゃ」
責任感が強い人や心優しい人ほど、そんな風に考えて家族の介護を1人で抱え込んでしまいがち。しかし、介護は身体的にも精神的にも大きなエネルギーが必要ですから、適度に社会資源や他者を頼らないと、心身ともに疲れ切って介護を続けられなくなる可能性もあります。
そこで今回は、介護疲れの負担を軽減するために知っておきたい社会資源やメンタルケアについてご紹介します。
介護疲れの負担を減らす社会資源
ここでは「介護に疲れた…」という時に活用したい社会資源を2つご紹介します。
(1)介護保険サービス
まず利用を検討したいのが「介護保険サービス」です。介護保険サービスとは「要支援・要介護の認定を受けた65歳以上の高齢者」や「特定疾病により要支援・要介護状態となった40歳から64歳以下の方」を対象としています。
介護保険サービスの内容は実にさまざまです。その中でも自宅で親や家族の介護をしている方の介護疲れ軽減に役立つのが「居宅介護サービス」です。
居宅介護サービスとは、介護保険を受ける人が自宅に居住しながら受けられる介護サービスで「訪問型サービス」「通所型サービス」「短期入所型サービス」の3つがあります。
- 訪問型サービス:ヘルパーや介護・医療の専門家が訪問し、身体介護・入浴介助・リハビリ・医療ケアなどを提供します。
- 通所型サービス:食事・入浴・リハビリ・レクリエーションなどを提供する施設に定期的に通所できます。
- 短期入所型サービス:食事・入浴・リハビリ・レクリエーションなどを提供する施設に短期間宿泊できます。
介護保険サービスは支給限度額の範囲内であれば、自己負担額はサービス利用料金の1~3割に抑えることができます。「介護で働ける時間が短くなってしまった…」「介護用品に思っていた以上にお金がかかる」と金銭面の問題に頭を悩ませる介護者にとって、経済的負担が軽減されるとそれだけでも心が少しラクになります。
(2)介護保険外サービス
介護保険サービスは1回の利用時間やサービス内容が厳格に決められています。そのため、「介護保険サービスだけでは満足のいく介護が受けられない」という場合も。
そんな時には介護保険外サービスの利用も検討してみましょう。例えば、以下のようなサービスがあります。
- 配食サービス:食事の準備等が難しい方に、栄養バランスの取れた食事を届けます。
- 訪問理美容サービス:理容師や美容師が自宅に訪問して、散髪やヘアカラーなどを行います。
- 外出支援サービス:1人での外出が不安な方の散歩や買い物、日帰り旅行などにヘルパーが付き添ってサポートします。
介護保険サービスより金銭面での負担は大きいものの、1人1人のニーズや生活スタイルに合わせて柔軟に選べるのが介護保険外サービスの魅力です。介護保険サービスとうまく組み合わせると介護の満足度をぐんと高められます。
介護疲れを防ぐメンタルケア
介護は身体的な負担はもちろん、心にかかるストレスも大きいものです。そのため、適度にメンタルケアを行わなければ、介護を長く続けていくことは難しくなります。
ここでは介護疲れを予防するためのメンタルケアについてご紹介します。
(1)自分の心と身体を休める時間を持つ
介護をしていると自分自身を大切にする余裕を失ってしまいがち。一生懸命に介護に取り組む人ほど気づいた時には心も身体も疲れ切って、介護を続けられない…という事態に陥ってしまうことも。
介護は長期戦ですから「自分の心と身体を休める時間」を作るよう意識しましょう。このように介護者が介護を続けるために取る休息を「レスパイト」といいます。
介護保険サービスの「通所型サービス」や「短期入所型サービス」、介護保険外サービスの「外出支援サービス」などを活用し、一時的に1人の時間を確保するだけでも、心にゆとりが生まれ、介護を続ける活力を取り戻しやすくなります。
(2)1人で抱え込まずに相談する
介護疲れを予防するためには1人で抱え込まずに相談することも大事。
介護保険や手続きなどの悩みはケアマネージャーや地域包括支援センターにどんどん相談しましょう。介護者が1から調べるよりも迅速かつ的確に対応してくれます。身体介助や医療ケアの負担はヘルパーや訪問看護スタッフに聞いてみると、今よりずっと負担のない方法を教えてもらえることもあります。
また、「介護がつらい」などの気持ちは他者に吐き出すだけで軽くなる可能性も。家族の介護に取り組む人が集まる場「介護者の会」を地域包括支援センターや社会福祉協議会などが開催している場合があるため、参加してみるのも良いかもしれません。自分と同じように家族の介護をしている仲間が見つかると「1人じゃない」と勇気づけられることもあります。
「介護でなかなか家から出られない。だけど誰かと話したい」という時には、保健所や地域包括支援センターなどによる無料電話相談や、自宅からでも相談できるオンラインカウンセリングも便利です。
まとめ
1人で介護を頑張りすぎると「もっとちゃんとしなければ」と思い詰めて介護うつになったり、「こんなに頑張っているのにどうして分かってくれないの」と虐待してしまったりと、努力が報われない結果となってしまう場合があります。
- 「介護保険サービス」や「介護保険外サービス」などの社会資源を上手に活用すること
- 介護者自身の心と身体を休める時間を持つこと(レスパイト)
- 介護の悩みやしんどい気持ちは1人で抱え込まずに相談すること
以上の3点を押さえて介護疲れを軽減すれば、介護者自身はもちろん、介護される人も笑顔で過ごせる時間が増やせるはずです。
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