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不登校の子供への親の基本的対応と親子を支える社会資源をご紹介
不登校の子供への親の基本的対応と親子を支える社会資源をご紹介
文部科学省の調査*1によれば、令和2年度の小中学生の不登校は約20万人。100人いれば2人は不登校という結果が出ています。子供が不登校になるのはけっして珍しいことではありません。
しかし、いざ子供から「学校に行きたくない」と言われたら…どうしたらいいか分からないと感じる親御様も多いのはないでしょうか?
今回は子供が不登校になったときの基本的な対応を解説すると共に、やってはいけない対応と言ってはいけない言葉、親御様の心をサポートする資源についてご紹介します。
不登校の子供への基本的な対応
まず子供が不登校になった時に押さえておきたい基本的な対応についてお話しします。
いつも通りの接し方を心掛ける
「不登校を治すために何かしなくちゃ!」と気負っている親御様は少なくありません。しかし、最も大切なのは「いつも通りの接し方」を心掛けること。
「不登校を治すために」と普段とは異なる働きかけをしても、子供は「自分が不登校だから親に気を遣わせている」と感じたり、「学校に行かない自分は認めてもらえないんだ」とネガティブに受け止めたりしてプレッシャーを感じ、さらに心身の調子を崩して学校に行けない…という悪循環を生み出します。
この記事に辿り着いた親御様は「子供のために何ができるか」と子供を常に大切に想う方だろうと思います。だからこそ、新たに何か頑張ろうとするよりも、不登校になる以前と同じように子供を愛し、認めてあげてください。
それが「何があっても私はあなたの味方だ」という応援になります。
学校の話題は本人の様子を見ながら
不登校になっても学校から「行事はどうするのか」「テストはどうするのか」など聞かれ、「子供に確認したいけど、学校の話題出しても大丈夫かな…」と迷う親御様も大勢います。
学校の話題を出すことが「学校に行きなさい」というメッセージとして伝わる場合、不登校の子供はそのメッセージをつらく感じて受け止められないことがあります。その場合には学校の話題が出ただけで「学校の話はしないで!」と怒り出したり、布団に潜り込んで出てこなくなったりします。
しかし、学校の話題を出しても「親は学校に行かせるために学校の話をしている訳ではない」と受け止められている場合には、抵抗なく話せることもあります。その場合は学校の話題を持ちかけても、他の話題と変わらず穏やかに話せるはずです。
学校の話題は本人の様子を見ながら出してみてください。心の準備が出来ていないようなら、無理に話題に出すのは避けましょう。
不登校の子供に対しておすすめできない対応や言葉かけ
ここでは不登校状態の悪化や新たな問題の発生などのリスクを伴うため、あまりおすすめできない対応や言葉かけをご紹介します。
親の「学校へ行ってほしい」という気持ちを優先してしまう
子供が不登校になると、親御様としては「何とか行ってほしい」と感じて、「頑張って行ってみようよ」と励ましたり、「子供は学校へ行くのが当たり前でしょ!」と厳しく叱ったりしてしまいます。
しかし、子供の気持ちを無視して親御様の気持ちを一方的にぶつけてしまうと、子供は学校にも家にも居場所がなくなります。
その結果、
- ストレスを抱えて心身の調子を崩す
- 親に会いたくないために部屋に引きこもる
- 親に暴言を吐いたり暴力を振るったりする
といった、さらなる問題を発生させるリスクが高まります。
多くの場合、親御様が「学校に行きなさい」と言わなくても、不登校の子供は「学校に行かなくちゃ」といつも考えています。それでも行けずに、いつも学校に行けない自分を責めています。
そんな状態だからこそ、子供の「学校に行きたくない」と「学校に行かなくちゃ」という2つの葛藤した気持ちに親御様が一緒に寄り添ってあげることが力になります。
親の不安を解消したくて「未来」の質問を浴びせかけてしまう
子供が不登校になると「このまま行けなかったらどうしよう」「私の関わり方が悪かったんだろうか」などの不安を感じる親御様は少なくありません。
不登校の子供を持つ親御様に限らず、人は解決の見通しが持てないことが苦手です。そのため、つい「明日は学校に行けそう?」「〇〇なら行ける?」「このまま休むくらいなら転校しようか?」など、「未来」の質問を浴びせかけてしまいます。
しかし、不登校の子供は「今」が苦しいのです。今まさにお腹がとても痛いときに「明日の外出はできそう?」「買い物なら行ける?」など問いかけられても答えようがないし、「今はとにかく休ませてほしい…」という気持ちになるのではないでしょうか?
今の苦しみを少しでも和らげることを考えていけば、自然と未来を考える余裕も生まれます。焦らず「今」を大事にしましょう。
子供が不登校で不安なときのサポート資源
不登校の子供を支える親御様は「見守ってあげた方がいいのか」「背中を押すべきタイミングでは?」「このまま学校に行けなかったらどうしよう」など常に苦悩します。
しかし、親御様が苦悩する姿を見ると子供が「自分のせいで親が悩んでいる」と自分を責める可能性もあるため、家の中では苦しさを出せず、非常にストレスが溜まりやすくなります。その結果、親御様が心身の調子を崩してしまう場合もあるのです。
そこで、ここでは親御様の苦しみを吐き出せるサポート資源をご紹介します。
家族会
まずご紹介したいのが「家族会」です。「子供の不登校」という共通の悩みを持つ家族が集まり、困りごとや体験談などを共有します。
不登校の相談窓口や医療機関などについて実際に利用した方から評判を聞けたり、不登校の子供がどのような進路に進んでいくのか知れたりと具体的な情報を得られるのもメリットですが、家族や友人には話せないような「不登校の子供を持つ苦しみや負担感」を分かち合えるのも大きな魅力です。
カウンセリング
不登校の悩みはカウンセリングで相談するのもおすすめ。
子供の通う学校のスクールカウンセラーであれば無料で専門的な視点からの助言を得られたり、親御様が誰にも言えずに抱えていた苦しさを吐き出したりできます。ただし、スクールカウンセラーは週1~2回しか学校にいない場合もあり、予約がかなり先になってしまうことも。
そんな時はオンラインカウンセリングもおすすめ。特にココロの窓口は「相談したい」と思ったときにカウンセラーがオンラインになっていれば、予約がなくてもすぐに相談可能。「子供を家に置いたままカウンセリングに出かけるのは心配」という方でもご自宅から相談できます。
まとめ
子供が不登校になった時の基本的対応として、
- いつも通りの接し方を心掛ける
- 学校の話題は本人の様子を見ながら出す
の2つをご紹介しました。
また、子供の状態や親子関係の悪化リスクがあり、おすすめできない対応としては、
- 親の「学校へ行ってほしい」という気持ちを優先してしまう
- 親の不安を解消したくて「未来」の質問を浴びせかけてしまう
の2つがあります。
不登校の子供を見守る親は常に苦悩する反面、その苦悩を家庭内では吐き出せない状況に置かれるため、ストレスが蓄積していきます。家族会やカウンセリングを活用して、適宜ストレスを解消していくことが親子どちらにとっても大切です。
参考資料
文部科学省(2021.10.13)令和2年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要
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